継続は力なり
趣味や習い事は続けることで気付きや理解が深まり、より上達していく。正に「継続は力なり」だ。入門する者に言っていることは、「生涯武術と云われている沖縄空手の稽古は実に地味であり、時(とき)を要するものである。故にこそ、続けなければ意味が無い」と。
段位
旅の目的地に着くのは勿論楽しみだが、その道中過程にも多くの体験や出会いがある。昇段審査では、段位取得に向けた猛稽古そのものが肝要である。で、その後どうするか。その段位に恥じぬよう、更に日々の稽古に精進しなければならない。
呼吸
我々は普通、無意識に呼吸をしている。だが、武術に関わり合いのある者は日常的に呼吸を意識し、且つ、意識的に呼吸をするようになる。武術的な意味合いもあるが、ひとつには、それが健康に結びつくことを知っているからである。
年をとり、体力筋力が衰えようとも、呼吸する事にはなんら問題ないからである。見回してみよう。昔からの健康法或いは健康に良いと云われている運動など、その殆どが呼吸を意識している。
サンチン立ち
沖縄剛柔流空手の基本は「サンチン」である。
然るに、演武会や競技会を見るにつけ、多くの空手家が上体のみに意識がいき下腿を疎かにしている。
制引戦(セイユンチン)
剛柔流の伝承型に於いて、最も四股立ちが多用される型である。故に鍛錬型とも云われている。而して、もし、己の型動作に於いてアップダウンが激しければ激しい程、肉体的体力的に「老いた」と自戒せねばならない。
私と型
強くなるために空手の世界に飛び込んだ。若い時は強くなることに憧れ、それを求めてきた。歳を重ねていくうちに「強さ」が「生涯続けたい」に替わっていった。
そして今の私が在る。
今現在の私が在るのは一つには「型」のお蔭である。恥ずかしながら若い頃軽んじてきた「型」のお蔭である。
沖縄空手の核
流派を問わず、かつて長老たちが口癖のように言い伝えてきた「型をやりなさい。型をやりなさい。」
この歳になり今更ながら実感する。沖縄の伝統空手の真髄は型の鍛錬に在る。型を通してこその生涯武術である。いや、型あってこそ生涯武術と成り得る。
何十年何百年と連綿と受け継がれてきた、伝統芸術芸能と言われているものの多くが、頑なに型を守り伝えている。型から入り、徹底して型を身体に馴染ませる。そして次の段階に上る。それは年を経、肉体年齢が衰えても続く。
型は無形の鋳型
沖縄空手において型の重要性は言うまでもない。が、型はあくまでも「鋳型」である。型の反復稽古で身体を練り、そこから技・術を抽出、或いは引き出す。
型は鋳型であるが、技や術は個の武才に依る。また、歳とともに変化していく。壁にぶつかれば型に戻れば良い。
型の分解・応用
型から技や術の展開の橋渡し役が、型の分解及び応用である。
接近戦
離れて打ち合う戦いは反射神経と体力勝負であり、若いうち或いは経験則としては良い。が、歳には勝てない。
接近戦では、反射・体力戦から心理・頭脳戦へと変化していく。そして、この心理・頭脳戦は年季が入るほど巧妙かつ狡猾になっていく。
接近戦の要諦
短打や寸打、肘や膝、靠、交叉法、駆け引き、誘導などなど。
駆け引き(犬が東を向けば尻尾は?)
東からとみせかけて西から打突する。蹴ると見せて突き、上からと見せて下からなどである。
空手家の段位と人格・品位
段位とその人の人格や品位は比例しない。つくづく、そう思う。